熊本県にお住まいの高齢者・障がいのある方へ:自宅リフォームで使える補助金・助成金お役立ちガイド

はじめに
多くの高齢者の方や障がいのある方が、住み慣れたご自宅で、安全かつ快適に暮らし続けたいと願っていらっしゃいます。ご自宅のリフォームは、生活の質を大きく向上させ、家庭内での不慮の事故を防ぎ、介護するご家族の負担を軽減することにも繋がります 。
この記事では、熊本県にお住まいの皆様が、そのような自宅リフォームを行う際に活用できる可能性のある様々な補助金・助成金制度について、わかりやすく解説いたします。特に熊本市の制度を詳しくご紹介するとともに、国が実施している関連制度についても触れていきます。
これらの制度は、単に経済的な支援を提供するだけでなく、高齢者の方や障がいのある方が自立した生活を送り、より安心して暮らせる社会を目指すという、より広い目的を持っています。しかしながら、利用できる制度が多岐にわたるため、どの制度が自分に適しているのか、どのように申請すればよいのか、情報が複雑で分かりにくいと感じる方もいらっしゃるかもしれません。この記事が、皆様にとって、必要な情報を見つけ出し、制度活用の第一歩を踏み出すためのお手伝いとなれば幸いです。
まずは確認!介護保険の住宅改修制度
要介護認定や要支援認定を受けていらっしゃる方にとって、住宅リフォームを考える際の最初の選択肢となるのが、介護保険制度における住宅改修費の支給です。この制度は、比較的小規模ながらも、日常生活の安全性や利便性を高めるために不可欠な改修を支援するものです。

対象者:介護保険法に基づき、要介護認定または要支援認定を受けている方が対象となります。
対象となる改修:この制度で対象となるのは、主に以下のようなバリアフリー改修です。資産価値を高めるような大規模な増改築は対象外となる点に注意が必要です 。
・手すりの取り付け
・段差の解消(敷居の撤去、スロープの設置など)
・滑りの防止及び移動の円滑化のための床材または通路面の材料の変更
(畳からフローリングへの変更など)
・引き戸等への扉の取替え
(開き戸から引き戸や折れ戸への変更、ドアノブの変更など)
・和式便器から洋式便器への取替え、または既設洋式便器のかさ上げ
・上記の改修工事に付帯して必要となる工事(下地補強、給排水設備工事など)
これらの改修は、あくまで身体状況に合わせた機能改善を目的としており、デザイン性や趣味のための工事は対象となりません。
【支給額】
支給限度基準額は、現在お住まいの住宅(住民票のある住宅)一箇所につき、原則として生涯で20万円です。この範囲内であれば、複数回に分けて利用することも可能です。実際に支給される金額は、かかった費用のうち、所得に応じた自己負担割合(1割~3割)を除いた額(7割~9割)となります。つまり、支給限度基準額20万円の工事を行った場合、自己負担が1割の方であれば18万円、2割なら16万円、3割なら14万円が上限として支給されます。
【申請手続き】
介護保険の住宅改修制度を利用する上で、最も重要なのは、工事を始める前に必ず申請手続きを行うことです。事前申請と承認なしに着工した工事は、原則として保険給付の対象となりません。これは、改修の必要性や内容が適切であるかを事前に確認し、保険給付の適正な運用を担保するための仕組みです。万が一、承認前に工事を進めてしまうと、全額自己負担となる可能性があるため、絶対に避けなければなりません。具体的な手続きの流れは以下の通りです。
お見積→申請→承認→工事着工→完了→補助金支給
申請手続きの流れはわかっても、ご自宅の現状やお身体の状態を詳しく把握した上での最適な工事の判断や、複雑な申請手続きはご家族だけでは難しいものです。失敗しないためにも、まずは専門家へご相談ください。
熊本市ホームページ|介護保険住宅改修費の支給について
熊本市の主な住宅リフォーム補助金
熊本市では、介護保険制度とは別に、高齢者や障がいのある方の住環境改善を支援するための独自の補助金制度を設けています。これらの制度は、対象者や条件、補助内容がそれぞれ異なるため、ご自身の状況に合わせて最適なものを選ぶことが大切です。特に、介護保険の認定状況や年齢、世帯の所得状況などが、どの制度を利用できるかの重要な判断基準となります。

高齢者住宅改造費助成事業 (要介護・要支援認定者向け)
この事業は、在宅の高齢者や障がいのある方が安全かつ快適に生活できるよう住宅改造費を助成し、自立促進、寝たきりの防止、介護者の負担軽減を図ることを目的としています 。
対象者
・熊本市に居住または居住予定の方。
・65歳以上で、介護保険法に基づく要介護・要支援認定を受けている方。
・または、65歳以上で身体障害者手帳1級・2級、
もしくは療育手帳A1・A2の交付を受けている方。
・または、65歳未満で身体障害者手帳1級・2級、
もしくは療育手帳A1・A2を所持している方。
・世帯の生計中心者の市民税所得割額に制限があります。
・改造する家屋の所有権を有しているか、所有者の承諾を得ていること。
・原則として、過去にこの助成を受けていないこと
(ただし、身体状況の変化等により再度の改造が必要と認められる場合を除く)。
対象となる改修工事
・玄関、廊下、階段、居室、浴室、トイレ、洗面所、台所など、高齢者等が利用する部分の改造工事。新築、増築、大規模な改築は原則対象外ですが、構造上やむを得ない場合は改造部分にかかる経費のみ対象となることがあります 。
助成額
助成額は、対象者の条件によって異なる「基準額」と、実際にかかった対象経費を比較して少ない方の額に、世帯の所得状況に応じた助成率(3分の3、3分の2、または2分の1)を乗じて算出されます。
基準額の例
・65歳以上の要介護認定者: 40万円
・65歳以上の要介護認定者で、かつ重度の身体障がい
または知的障がいのある方: 70万円
・65歳未満で重度の身体障がいまたは知的障がいのある方: 90万円
介護保険との併用
この制度の大きな特徴は、介護保険の住宅改修費支給制度と併用が可能である点です 。介護保険の支給限度額20万円を超えてしまうような改修や、介護保険の 対象とならない部分の改修であっても、この助成事業の対象となる可能性があります。これにより、より広範囲な、または質の高いバリアフリー改修が実現しやすくなります。例えば、介護保険で手すり設置と段差解消を行い、市の助成事業で浴室全体の改修を行う、といった組み合わせが考えられます。
申請手続き
工事着工前の事前申請が必須です。まずは、お住まいの区の区役所福祉課または地域包括支援センター(ささえりあ)にご相談ください。申請には、改造箇所の設計図、施工前の写真、工事費の見積書、所得を証明する書類など、多くの書類が必要となります。
熊本市ホームページ|高齢者住宅改造費助成事業について(要介護・要支援認定者に限る)
高齢者住宅バリアフリー化改修費補助金 (自立した高齢者向け)
この補助金は、高齢者が住む住宅のバリアフリー化を促進し、家庭内事故を防止して
居住の安定を図ることを目的としています。
対象者
・熊本市に住所を有し、補助対象住宅に居住している満65歳以上の方。
・重要な条件として、世帯の全員が介護保険法による要支援または要介護
・認定を受けていないこと(認定申請中や更新忘れによる期限切れも対象外)が挙げられます。この点が、上記の「高齢者住宅改造費助成事業」との大きな違いです。つまり、まだ介護保険のサービスは必要ないものの、将来のために住まいを安全にしておきたい、という自立した高齢者の方を対象としています。
・世帯の65歳以上の方全員の年収に制限があります。
・市税を滞納していないこと。
・世帯の全員が暴力団員等でないこと。
対象となる住宅
熊本市内にある既存の住宅(戸建、共同住宅の専有部分など)。
借家の場合は所有者の承諾が必要です。
対象となる改修工事
・手すりの取り付け
・段差の解消
・滑りの防止及び移動の円滑化のための床材または通路面の材料の変更
・引き戸等への扉の取替え
・和式便器から洋式便器への取替え、または既設洋式便器のかさ上げ
・上記の改修工事に付帯して必要となる改修工事
補助金額
バリアフリー改修工事にかかる費用の3分の1で、補助上限額は6万円です(つまり、対象経費18万円までの工事が補助の範囲となります)。1世帯につき、補助上限額に至るまで複数回の申請が可能です。補助額は比較的小規模ですが、予防的な改修には有効な支援と言えるでしょう。
申請手続き
申請期間が定められており(例:令和7年度は令和7年4月7日から令和8年1月15日まで)、原則として郵送または電子申請で受け付けられます。工事は指定された期日までに完了報告が必要です。申請には、補助金交付申請書や工事見積書の写しなどが必要です。
熊本市ホームページ|高齢者住宅バリアフリー化改修費補助金について
住宅改造費助成事業 (障がいのある方向け)
この事業は、在宅の障がい児・者の方の日常生活における利便性向上を目的とした住宅改造経費を助成するものです。
対象者
・原則として65歳未満の方。65歳以上の方は、基本的に介護保険サービスや上記の高齢者向け助成事業の利用が優先されます。
・熊本市に居住(または居住予定)の方。
・身体障害者手帳1級・2級、または療育手帳A1・A2を所持する方。
・世帯が市民税非課税であるか、または生計中心者の市民税所得割額が22万円以下であること。
対象となる改修工事
手すりの取り付け、段差解消、廊下・ドアの拡張、和式から洋式便器への取替え、車椅子用電動昇降機の設置など、障がいの状況に応じた幅広い改造が対象となり得ます。
助成額
基準額は上限90万円です(ただし、過去に日常生活用具給付等事業における住宅改修制度を利用したことがある場合は上限70万円となることがあります)。助成率は、市民税非課税世帯または生活保護世帯の場合は対象経費の3分の3(全額)、市民税課税世帯(所得制限内)の場合は3分の2となります。
申請手続き
工事着工前の事前申請が必須です。手続きには、改造箇所確認のための現地調査(家庭訪問)の申請、助成金交付申請、工事完了後の実績報告書の提出などが含まれます。相談・申請窓口は、熊本市障がい福祉課です。
また熊本県内の各市町村では、介護保険制度を補完する形で、独自の条件(居住年数、所得制限、地元の地域通貨での支給など)を設けた支援策を講じていることが多いです。そのため、お住まいの市町村の役場(高齢福祉担当課や障がい福祉担当課など)や、最寄りの地域包括支援センター(ささえりあ)に直接問い合わせて、最新の情報を確認することが最も確実です 9。地域によっては、この記事で触れられていない独自の支援制度が存在する可能性もあります。
熊本市ホームページ|障がいのある方への住宅改造経費の助成について
国が支援する「住宅省エネ2025キャンペーン」もチェック
「住宅省エネ2025キャンペーン」とは日本が掲げる2050年カーボンニュートラル実現という目標に対し、国土交通省、経済産業省、環境省の3省が連携して推進する新しい支援事業です。住宅所有者が快適性の向上、光熱費の削減、そして資産価値の向上に繋がるリフォームに対して、手厚い金銭的支援を受けられ、子育て世帯だけでなく全世帯が対象のものです。
このキャンペーンは、「子育てグリーン住宅支援事業」と「先進的窓リノベ2025事業」「給湯省エネ2025事業」「賃貸集合給湯省エネ2025事業」のそれぞれ異なる目的を持つ4つの補助金事業から構成されています。
高齢者の方の住宅リフォームで活用できる「子育てグリーン住宅支援事業」と「先進的窓リノベ2025事業」について詳しくご説明します。
子育てグリーン住宅支援事業
子育てグリーン住宅支援事業は、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、新築住宅について、エネルギー価格などの物価高騰の影響を特に受けやすい子育て世帯などに対して、「ZEH基準の水準を大きく上回る省エネ住宅」の導入や、2030年度までの「新築住宅のZEH基準の水準の省エネルギー性能確保」の義務化に向けた裾野の広い支援を行うとともに、既存住宅について、省エネ改修等への支援を行う事業です。
新築に対する補助は子育て世帯または若者夫婦世帯に限られますが、リフォームに対しては工事内容に条件はあるものの全世帯が対象です。
対象者
①グリーン住宅支援事業者と工事請負契約等を締結し、リフォーム工事をする方
「グリーン住宅支援事業者」とは、工事発注者に代わり、交付申請等の手続きを代行し、交付を受けた補助金を工事発注者に還元する者として、予め本事業に登録をした工事施工業者です。
※工事請負契約等が結ばれていない工事は対象になりません。
②リフォームする住宅の所有者等であること
住宅を所有し、居住する個人またはその家族の方や法人などが対象です。
対象となるリフォーム工事
1. 開口部の断熱改修
2. 躯体の断熱改修
3. エコ住宅設備の設置
4. 子育て対応改修
5. 防災性向上改修
6. バリアフリー改修
7. 空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置
8. リフォーム瑕疵保険等への加入
※1〜3の必須工事、4〜8の任意工事のうちそれぞれ2つ以上のカテゴリーの工事を行った場合かつ補助額の合計が5万円以上で補助対象となります。
補助額と上限額
必須工事1~3をすべて実施すると、一戸あたり上限は60万円です。また必須工事1~3のうち2つを実施しても一戸あたり40万円を上限に補助されます。。飲み過ぎには注意しましょう。
先進的窓リノベ2025事業
先進的窓リノベ2025事業は、既存住宅の早期の省エネ化を図り、エネルギー費用負担の軽減及び住まいの快適性の向上と、2030年度の家庭部門からのCO2排出量66%削減、「ウェルビーイング/高い生活の質」の実現に貢献するとともに、先進的な断熱窓の導入加速により、価格低減を促進することで関連産業の競争力強化・経済成⾧を実現し、くらし関連分野のGXを加速させることを目的とする事業です。
つまり断熱性能の高い窓やドアへの改修に特化した制度です。
対象者
戸建、共同住宅によらず、既存住宅すべてが対象です。
ただし居住用の家屋が対象で、事務所や店舗などは対象になりません。
対象となるリフォーム工事
・開口部の断熱改修(リフォーム)
補助額と上限額
・一戸あたり200万円
住宅の断熱性が低いと夏は熱中症、冬はヒートショックなどの高齢者の身体に重大な被害がある可能性があります。上記2つの制度はそれを防ぐために活用が可能です。
補助金申請をスムーズに進めるために
住宅リフォームの補助金制度は、上手に活用すれば費用の大きな助けとなりますが、申請手続きは煩雑に感じられることもあります。
「どの改修が本当に今の自分に必要なのか」「将来のことも考えると、どんな工事をしておくべきか」といった判断は、ご本人やご家族だけでは難しいものです。また、制度の対象となる工事内容を正確に見極め、適切な見積もりを取得し、煩雑な申請書類を準備するのは大きな負担となり得ます。
だからこそ、住宅改修・リフォームを具体的に進める前にまずは専門家にご相談いただくことが、失敗しないための最も重要なステップになります。
最も大切なのは【専門家とよく相談し、ご自身の心身の状態や生活スタイルに本当に合った改修を行うこと】です。
「うちの家、もっとこうだったら暮らしやすいだろうな」というその気持ちを、まずは専門家に話してみることからすべては始まります。専門家は、あなたの想いを形にするための、いわば「翻訳家」であり「伴走者」です。
住み慣れた我が家がこれからもずっと一番安心できる場所であるように。そのための第一歩をぜひ踏み出してみてください。
まとめと相談窓口
福祉用具や介護リフォームは千広に相談!
本記事では「熊本県 高齢者向け リフォーム補助金」をご紹介しましたが、
・うちでもリフォームできるの?
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本記事やご自身だけで判断が難しい場合は、介護の知識を持ったプロに一度ご相談されるのがおすすめです。
株式会社千広は熊本県に根差して、地域のご高齢者やご家族の生活を福祉用具で20年以上支援してきた企業です。高齢者の身体はもちろん、豊富な種類の福祉用具を取り扱っておりますので、お風呂場の介護リフォームにつきましても、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の著者

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