介護保険制度について
介護サービスを利用するにあたり必ず関わってくる介護保険制度ですが、内容が複雑ということもありよくわからないという方も多いのではないでしょうか?
この記事ではそんな『介護保険制度』をわかりやすく解説していきます。
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もくじ
1. 介護保険制度とは?
2. 介護保険は誰が使える?
3. 介護保険を使って利用できるサービスは?
4. 介護保険の支給限度額について
5. 介護業界の今後と課題
介護保険制度とは?
「介護保険制度」とは、介護を必要とする方が適切なサービスを受けられるように国と自治体が介護サービスの費用を一部負担し、介護が必要な方の生活をサポートする制度です。この制度は2000年4月にスタートし、当時から懸念されていた高齢化社会において高齢者や障がいのある方の生活を支える重要な制度となっています。
「介護保険制度」は、全国の自治体が運営主体となって、納められた保険料と税金で運営されています。40歳以上になると介護保険の加入が義務付けられ、介護保険料を納付することになり、被保険者としてサービスを受けるには、自治体の窓口で手続きをして受給できるかどうか審査を受け、介護が必要なであると認定されると1割~3割(年金収入等の前年度所得によって負担の割合が変わります)の自己負担で介護サービスを受けることができます。この制度のおかげで、高齢者や障がいのある方は要介護認定または要支援認定を受けたときに介護サービスを受けるための金銭的負担が大きく軽減しました。
介護保険は誰が使える?
介護保険の被保険者は、65歳以上の方(第1号被保険者)と、40〜64歳までの医療保険加入者(第2号被保険者)に分類されます。介護保険を使って介護サービスを受けられる対象者は原則として第1号被保険者のみとなっており、要介護状態(寝たきりや認知症などで常に介護を必要とする状態)や、要支援状態(常時の介護までは必要ないが身支度など日常生活に支援が必要な状態)になった65歳以上の方が受給対象となります。ただし、64歳以下の第2号被保険者でも以下のような病気により要介護(要支援)認定を受けた場合は、介護保険を利用して介護サービスを受けることができます。
1.がん(末期)
2.関節リウマチ
3.筋萎縮性側索硬化症(ALS)
4.後縦靭帯骨化症(OPLL)
5.骨折を伴う骨粗鬆症
6.初老期における認知症
7.進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病
8.脊髄小脳変性症
9.脊柱管狭窄症
10.早老症
11.多系統萎縮症
12.糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
13.脳血管疾患
14.閉塞性動脈硬化症(ASO)
15.慢性閉塞性肺疾患(COPD)
16.両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
上記のような病気を「特定疾病」と呼びます。
介護保険を使って利用できるサービスは?
介護保険で利用できるサービスは以下の5種類です。
居宅サービス
要介護認定された方が利用できるサービスで、訪問介護、訪問看護などの訪問系サービスから通所介護(デイサービス)や通所リハビリ(デイケア)などの通所系サービス、その他にも、短期の宿泊を目的としたショートステイ、福祉用具のレンタル・購入サービスなどがあります。
福祉用具レンタル・購入について詳しく知りたい方はこちら⇒
地域密着型サービス
要介護認定された方が利用できるサービスで、居宅サービスとは違い、その地域に住む方のみが利用できる介護サービスです。定期巡回・随時対応型訪問介護看護や地域密着型通所介護、訪問・通所・宿泊の3つの機能が合わさった小規模他機能居宅介護などが地域密着型サービスに該当します。
施設サービス
名前の通り24時間体制の介護やリハビリ、療養などが必要な方が施設に入所するためのサービスです。これも要介護認定された方が利用できるサービスです。施設サービスは、要介護度3以上の比較的重度の方が入所する「特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)」、在宅復帰を目指しリハビリを行う「介護老人保健施設」、比較的病状は安定しているが医療的な管理が必要な方が入所する「介護医療院」、療養病床を持つ病院や診療所などの「介護療養型医療施設」の4つの施設で利用ができます。現在、介護療養型医療施設(介護療養病床)はすでに制度としては廃止されており、今ある介護療養型医療施設は介護医療院へ順次移行されていく予定です。
介護予防サービス
介護の必要のない自立した状態まで身体機能を回復させることを目的としたサービスで通所介護や訪問介護で利用できます。また自宅での生活に支障が出ないようにする『住宅改修(介護リフォーム)』も介護予防サービスに含まれます。自宅で長く生活ができるよう、手すりの取り付けや段差の解消、浴槽の取り換え、滑りにくい床材への変更などに利用ができます。
住宅改修(介護リフォーム)について詳しく知りたい方はこちら⇒
地域密着型介護予防サービス
域密着型サービスと同じで、地域に住む方のみが利用できる介護予防サービスです。要支援認定された方が対象となり、身体機能の回復・維持を目的とした地域特性に合わせたサービスです。
介護保険の支給限度額について
介護保険は、介護度により支給限度額が決められています。介護度は、要支援1〜2、要介護1〜5の7段階に分けられ、介護度が上がれば上がるほど身体状態としては重度となり限度額も高額になります。
要支援1 | 要支援2 | 要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
支給限度額 | 50,320円 | 105,310円 | 167,650円 | 197,050円 | 270,480円 | 309,380円 | 362,170円 |
自己負担額(1割) | 5,032円 | 10,531円 | 16,765円 | 19,705円 | 27,048円 | 30,938円 | 36,217円 |
自己負担額(2割) | 10,064円 | 21,082円 | 33,530円 | 39,410円 | 54,096円 | 61,876円 | 72,434円 |
自己負担額(3割) | 15,096円 | 31,593円 | 50,295円 | 59,115円 | 81,144円 | 92,814円 | 108,651円 |
上記の限度額以内で介護サービスを利用すれば自己負担額は1~3割で済みますが、限度額以上のサービスを求める場合は超過分を全額自己負担すれば利用することができます。また通常の場合、介護支援専門員(ケアマネジャー)が、本人や家族の希望を聞いた上で介護サービスにかかる費用を限度額内に調整したケアプランを作成してくれます。
介護業界の今後と課題
上記のように介護保険制度が高齢者やその家族を支えてくれているおかげで、介護が必要な方に適切な介護サービスを提供できているのですが、現在の日本は加速する少子高齢化や社会保障費の増大による財源不足、介護人材の不足など様々な問題に直面しています。このまま介護が必要な高齢者が増えていけばいずれ、介護が必要な状態なのに介護サービスが受けられない「介護難民」が増えていくことになります。そうなったときには介護の負担は家族にのしかかっていくでしょう。
そうならないためにも今のうちから、身体機能を維持できるよう介護サービスを利用してみたり、自宅で長く生活ができるように福祉用具や介護リフォーム(住宅改修)を活用して安全で利便性の高い生活環境を作っていくことを検討されてみてはいかがでしょうか?